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おもしろいことをやらかす組織には、おもしろいリーダーがいる

以前から、アップルコンピュータという企業に妙にそそられてきた。

市場シェアではWindowsにかなわないのに、Macを愛してやまない数多くのファンを抱える。
PCといえば冴えないベージュの筐体が一般的だった時代に、スケルトンのiMacを投入することでPCにデザイン性を持ち込んだ。
iPodとiTunesミュージックストアを引っさげて音楽業界に乗り込み、「音楽をダウンロードして聴く」というスタイルを定着させた。
1998年に手がけた「Think different.」キャンペーン、iPod発売時に話題となったシルエット広告など、斬新なマーケティング戦略で実に巧妙に世間の耳目を集めた。

とにかく「今度は何をやってくれるのだろう」と期待せずにはいられない。アップル社には、ビックリ箱を開けるときのような高揚感と魅力がある。

◆◆◆

アップル社が世界に向けて放つクリエイティビティの源(地震の震源地と言ったほうがいいかもしれない)をたどっていくと、同社のCEOであるスティーブ・ジョブズに行きつく。その生い立ちや人となりについては、もちろんこれまでにも数多くのメディアでさんざん書き立てられてきた。

けれども、そうした人物評の多くは「ジョブズは天才でエキセントリックで変人です。以上」という感じで、どことなく物足りなさを感じてきたのも事実だ。私が知りたいのはそんなことじゃなく、たとえば――

「なんであんなデザインを思いついちゃうわけ?」
「どうやったらそんな革新的な製品を生み出せるんだろう?」
「わがままな(たぶん)世界一流のクリエイターたちをどうやって率いているのか?」
「あのマーケティング戦略はだれがどうやって仕掛けたんだろう?」
「あそこまで瀕死の状態だった組織をどうやって立て直したの?」

要するに、もっと自分自身の問題や課題の解決につながるヒントのようなものを、ジョブズから引き出したいのだ。

◆◆◆

そんな折に出合ったのが、Inside Steve's Brain(邦題『スティーブ・ジョブズの流儀』)という本。著者は12年以上もアップル社を追いかけつづけているジャーナリストだ。ジョブズの人物評伝的エッセンスを縦糸に、アップル社やピクサー社を題材にしたビジネス書的エッセンスを横糸にして巧みに編まれた本書には、私が長年抱いてきたあんな疑問やこんな疑問に対する答えが詰まっている。

Macファンじゃなくても、iPodを持っていなくても、アップル社とは似ても似つかない業界にいても、スティーブ・ジョブズと彼が率いる組織からはたくさんのことが学べる。

ついでに、利かん気の強い子どもがそのまま大人になったようなジョブズの言動は、見ていて最高におもしろい。それに振り回されるスタッフには同情したいところだが、驚くことに彼ら自身が、ジョブズとともに仕事することに大きなやりがいを感じているという。たとえジョブズから「くそ」だの「大バカ」だのと罵られても、だ。ちなみに、アップル社で「役立たず」といえば、次のような人物を指す。

やく-たたず【役立たず】
あまり頭が切れないうえに、不可能なもの(たとえば、どんな音楽もクリック3回以内で聴けるプレーヤー)をつくれとくり返し要求され、解決案を示すと「くそ」呼ばわりされることに耐えられるだけの精神的強さがない者のこと。(p.201)


いろいろな意味で、こんな組織めったにない。
それでも組織が空中分解せずに革新的でありつづけるのは、ジョブズの異常なまでの情熱が、まわりの社員から最高のパフォーマンスを引き出しているからなのだろう。


ファッションやライフスタイルで自分のパーソナリティを主張するように、仕事を通じて自分の個性を主張したいと思う人には、ジョブズは格好のお手本だ。アップル社の大きな成功(と、時々やらかす失敗)をケーススタディにして、私たちは思う存分学ばせていただくとしよう。


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2008.10.23 Thu l 編集担当の私的レビュー l COM(0) TB(0) l top ▲
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